設立趣旨

日本糖尿病情報学会は2002年にNPO法人糖尿病教育資源共有機構として設立され、2008年に日本糖尿病情報学会に改称し、2020年の第20回学術集会まで設立趣旨に沿ってITを活用した糖尿病診療について情報発信をしてまいりました。その間に医療を取り巻く環境は大きく変わり、患者の高齢化、医療過疎地域の拡大、医療費の増大など患者、住民、医療機関、行政、企業における医療情報のニーズは増大と多様化の一途を辿っています。日本糖尿病情報学会の活動をさらに発展させるため、2019年に将来構想検討委員会が立ち上がり、松久宗英先生が委員長となり、学会の今後の事業についての話し合いが行われ、学会活動を学術集会や著作物の刊行という発表の場に留ませることなく、「情報及び技術の創出ならびに普及・啓発」「社会実装」「社会基盤の構築」「人材育成」など更なる社会貢献ができる学会への発展を基軸とすることになりました。特に、情報があってもそれを十分に活用し、臨床の場で活かせるスキルが不十分であり、そのためメディカルスタッフを含めた人材育成が必要と考えております。さらに本学会では会員の皆様が掲げるプロジェクトを学会がサポートして、データを創出し、社会実装をしていく活動を広げていきます。

このことから今後の活動方針を「糖尿病に関連する正しい情報と技術の創出および社会実装を通じ、質の高い糖尿病診療が実現する社会基盤の構築と関連する人材の育成に寄与することを目的とする。」としました。さらに学会の形態は事業の拡大と継続しやすい体制を構築するために「NPO法人」から「一般社団法人」に変更しました。学会名については様々なアイデアがありましたが、本学会の継続性、他の学会との差別化、将来の発展性を考え、まだまだ浸透している言葉ではないのですが、情報科学技術およびこれに関連する分野を含む包括的な概念を意味する「インフォマティクス」という語句を入れた、「日本糖尿病インフォマティクス学会」としました。今後のこの言葉を社会に浸透させていきたいと思います。

学会設立時期に重なって、昨年からCOVID-19感染の流行に伴い、院内感染を含む感染防止策として、初診を含む電話・オンライン診療などの遠隔医療が時限的・特例的な対応として認められ、「経済財政運営と改革の基本方針2020(骨太方針2020)」や「成長戦略フォローアップ」にも盛り込まれました。さらに糖尿病療養指導も対面式の集団療養指導や個別療養指導から、IoT等の ICTを用いた療養指導を取り入れられています。医療情報の流れは急速に変化しつつあり、糖尿病医療も医療職のみが何でもやる時代ではなく、様々な職種や行政・企業をどのように組み合わせて患者や社会に価値をもたらすかを実装する時代に移行しています。このような中で本学会の活動を早急に立ち上げ、社会に貢献したいと考え、この度設立することになりました。長い間、日本糖尿病情報学会を支えてくださった会員の皆様、日本インフォマティクス学会は皆様のご期待に応えるように発展させてまいります。今後ともご支援の程宜しくお願い致します。