一般社団法人日本インフォマティクス学会は2002年に設立された特定非営利活動法人日本糖尿病情報学会が、2021年に初代理事長の安西慶三先生の強いリーダシップのもと、時代のニーズをいち早く捉え、一般社団法人日本糖尿病インフォマティクス学会として新しく船出をしました。
本学会の活動指針は「糖尿病に関連する正しい情報と技術の創出および社会実装を通じ、質の高い糖尿病診療が実現する社会基盤の構築と関連する人材の育成に寄与することを目的とする。」と設立時に示されました。デジタル後進国とされたわが国でも、新型コロナウイルスのパンデミックも加わり、比類なきスピードで社会のデジタル化が進められています。糖尿病診療においても、個人の血糖値や体重などの健康情報、健診の情報、さらに最も機密性の高い医療情報まで個々の重要情報が、収集・蓄積・閲覧・共有ができる時代となり、糖尿病のある方と医療者のチーム内で、また行政や保険者も含めた地域でデータを活用することが進められています。これを企業の努力によるIT技術の進歩と国の施策が後押ししています。
一方で、不正確な情報の氾濫、企業間の情報連携の障壁、情報技術に向けられる悪意ある侵襲、さらにその運用の制度面や倫理面に関するソフト部分の未発達など、ヒトと技術の進歩に解離があり、問題が山積しています。また、ユーザーフレンドリーなツールやアプリの開発や医療人材のITリテラシーの向上など、情報を患者さんに届ける部分にも課題が多い状況です。このため、本学会ではこれらの課題を医療者とアカデミア、さらに行政や企業と膝を交えて議論し、課題解決に向けたプロジェクトを立ち上げることにより、正しい情報と技術が糖尿病のある方に適切に届き、集積・統合された情報が診療に最適にフィードバックできるようサポートしていきたいと考えます。
志を同じくする仲間が集まり、職種や企業の壁を乗り越えた先に、情報を活用したより良い未来の糖尿病診療が実現することを信じ、本学会を進めています。興味ある皆様にはどうぞ仲間になっていただき、温かいご支援とご指導を賜りますようお願い申し上げます。
2023年9月吉日
松久宗英
(徳島大学先端酵素学研究所糖尿病臨床・研究開発センター)